居住サポート住宅の認定制度とは?申請の3つの壁と対策を解説
2026.02.16
事業主向けコラム
居住サポート住宅の認定手続きが進まず悩んでいませんか。
複雑な要件や膨大な書類作成に、どこから手をつければいいか分かりませんよね。
実は、建築と福祉にまたがる本制度は、自治体ごとに独自の解釈も存在するため、多くの実務担当者がつまずきやすいのです。
スムーズな認定取得には、正しい段取りの理解が欠かせません。
本記事では、認定制度の仕組みから申請の流れ、審査の落とし穴まで具体的に解説します。
この記事を読めば、煩雑な手続きから解放され、確実・最短で認定を取得する道筋が見えるでしょう。
居住サポート住宅の認定制度とは

居住サポート住宅の認定制度とは、高齢者や障害者など、住宅の確保が難しい方々(住宅確保要配慮者)が安心して暮らせるよう、見守りサービス等の支援体制が整った賃貸住宅を都道府県や市区町村が認定する仕組みのことです。
認定を受けることで、オーナー様や運営事業者様は、入居促進だけでなく、改修費の補助や税制優遇といった経営的なメリットを享受できます。
しかし、認定を取得するためには、「ハード面(建物)」と「ソフト面(支援)」の両方で、法令に基づいた厳格な基準をクリアしなければなりません。
本制度の全体像を把握するために、まずは以下の4つのポイントを押さえてください。
- 見守り支援が備わった賃貸住宅の仕組み
- 改修費の補助や税制優遇が受けられる支援策
- 高齢者など助けが必要な入居者を守るための規格
- 部屋の広さや耐震性など国が定めた合格基準
見守り支援が備わった賃貸住宅の仕組み
認定制度の根幹となるのは、「箱(建物)」だけでなく「サービス(見守り)」がセットになっている点です。
単に高齢者に部屋を貸すだけでは、居住サポート住宅とは認められません。
入居者の安否確認や生活相談、緊急時の対応といった「居住支援サービス」を、認定を受けた居住支援法人や社会福祉法人などと連携して提供する体制が必要です。
専門機関と連携した手厚い見守り体制を構築することで、オーナー様が抱える「孤独死リスク」や「対応の手間」を軽減しつつ、入居者は安心して生活できる環境が整います。
つまり、福祉的な付加価値をつけることで、空室対策とリスクヘッジを同時に実現する賃貸経営モデルと言えます。
改修費の補助や税制優遇が受けられる支援策
認定を取得する最大のメリットは、国や自治体からの手厚い経済的支援です。
バリアフリー化や耐震改修を行う際、要件を満たせば「1戸あたり最大50万円〜100万円程度」の改修費補助金を申請できます。
あわせて、固定資産税や不動産取得税の軽減といった税制面での優遇措置も用意されています。
こうした手厚い支援をフル活用することで、初期投資を大幅に抑えながら物件価値を高めることが可能です。
ただし、補助金制度は仕組みが複雑なうえ、公募期間を逃すと大きな損失に繋がります。
まずは専門家へ相談し、自社で受けられる具体的な金額や最適なスケジュールを早期に確定させることが重要といえるでしょう。
※補助金に関するご注意
補助金には「対象工事の範囲」が厳格に定められています。自治体の予算状況や物件の条件によって受給額・可否が左右されるため、詳細は必ず事前にご確認ください。
高齢者など助けが必要な入居者を守るための規格
本制度の対象となる入居者(住宅確保要配慮者)は、法律で明確に定義されています。
具体的には、以下のような方などが該当します。
- 低額所得者(月収15.8万円以下)
- 被災者
- 高齢者
- 障害者
- 子どもを養育している
また、自治体によっては「新婚世帯」や「外国人」などを独自に追加しているケースもあります。
どのような属性の方を入居対象とするかによって、連携すべき支援団体や必要な設備が変わってくるため、事業計画の段階でターゲットを明確にしておくことが重要です。
既存の入居者が対象者であれば、そのまま認定申請を進められる可能性もあります。
部屋の広さや耐震性など国が定めた合格基準
認定を受けるためには、建物自体が一定の基準(ハード面の要件)を満たしている必要があります。
主なハード面の要件として、以下のような基準があります。
- 床面積が25㎡以上であること(※既存住宅は18㎡以上)
- 耐震性を有していること
- 台所・トイレ・収納・浴室が備わっていること
特に築古物件を活用する場合、現在の耐震基準を満たしていないケースや、和式トイレなどの設備がネックになることが少なくありません。
ご自身の物件が認定基準をクリアできるか、あるいは改修によってクリア可能かを、設計士等の専門家を交えて申請前に必ずチェックする必要があります。
ここでの判断ミスは、後の申請却下に直結します。
居住サポート住宅の認定申請手続きを完了させるまでの期間

居住サポート住宅の認定申請は、書類を提出して終わりではありません。
行政窓口との事前相談から始まり、関係者との調整、本申請、審査を経て、ようやく認定通知書が交付されます。
多くの事業者様が「1ヶ月程度で終わるだろう」と想定されますが、実際には不慣れな手続きや度重なる修正により、半年以上かかってしまうケースも珍しくありません。
スムーズな事業開始のためには、標準的なリードタイムを理解し、逆算して行動することが不可欠です。
認定取得までの期間を構成する3つの要素は以下のとおりです。
- 申請準備に費やす最初の数週間の時間
- 自治体が書類を精査する数ヶ月の審査時間
- 不備対応や追加提出で発生する数週間のロス時間
申請準備に費やす最初の数週間の時間
手続き開始から認定取得までは、トータルで最短でも2〜3ヶ月の期間を見込んでおかなくてはなりません。
最初のステップとなるのが、必要書類の収集や図面作成、関係各所との調整に費やす「準備の時間」であり、これだけで約1ヶ月を要します。
特に、手元に正確な図面がない場合は、建築士による現況調査や図面の復元作業が必要となるため、さらに数週間のリードタイムが加算されます。
補助金の活用を検討中であれば、申請期限に間に合わなくなるリスクも想定されるため、余裕を持った工程管理を行うことが経営上の極めて重要な課題と言えるでしょう。
自治体が書類を精査する数ヶ月の審査時間
準備した書類を提出した後も、すぐに認定が下りるわけではありません。
自治体による厳格な書類審査に、標準で約1〜2ヶ月の審査期間を要します。
この期間中、行政の担当者は「建物が基準に適合しているか」「支援計画に実効性があるか」を細部までチェックします。
さらに、住宅部局だけでなく、福祉部局や消防署など複数の部署にまたがって協議が行われるため、どうしても物理的な待ち時間が発生してしまうのです。
審査期間は自治体の混雑状況によっても変動するため、自社ではコントロールできない「待ちの時間」が発生することを、あらかじめ事業計画に組み込んでおく必要があります。
不備対応や追加提出で発生する数週間のロス時間
最も警戒すべきなのが、書類の不備や追加提出の指示によって発生する、予期せぬ「ロス時間」です。
手引きには載っていない自治体独自の「ローカルルール」により、標準外の資料作成を急遽求められるケースは後を絶ちません。
一度の修正対応で数週間が空いてしまい、そのやり取りが数回続くだけで、開業予定日は簡単に1ヶ月以上遅れてしまいます。
こうした不確実なやり取りを回避し、最短ルートで審査を通過するためには、地域の運用ルールに精通した専門家の知見を借りることが、最も確実なリスクヘッジとなります。
居住サポート住宅の認定申請に必要な書類とは

居住サポート住宅の認定申請手続きにおいて、担当者様の負担が最も大きくなるのが膨大な申請書類の準備です。
権利関係の証明から建築基準法の適合証、福祉サービスの計画書まで、専門性の高い資料を多岐にわたり揃えなければなりません。
社内にある既存の資料だけでは完結しないため、まずは準備のハードルが高い主要な書類を把握しておくことが重要です。
特に注意が必要な書類は以下の3点です。
- 設計士の協力により用意する精密な建物図面
- 行政に支援内容の具体性を証明するための事業計画書
- 地域独自のルールにより個別で追加されるローカル資料
設計士の協力により用意する精密な建物図面
申請には、各階平面図や求積図など、建築士による正確な図面が必須となります。
手元にある古いパンフレットの間取り図や、手書きの図面では申請として認められません。
正確な寸法や壁の厚さ、開口部の位置などが明記された専門的な図面が必要です。
もし手元に検査済証や図面がない場合は、建築士に依頼して現況調査を行い、図面を復元しなければなりません。
設計事務所とのやり取りや専門用語の理解が必要となるため、建築の知識がない担当者様にとっては、この図面手配だけで大きな負担となるケースが大半です。
行政に支援内容の具体性を証明するための事業計画書
居住サポート住宅の肝である「見守りサービス」の内容を、具体的に記述した事業計画書の作成も求められます。
「誰が、いつ、どのような方法で安否確認を行うのか」「緊急時にはどの病院や警察と連携するのか」といったフローを、行政が納得するレベルで落とし込む必要があります。
単に「見守ります」と書くだけでは審査を通過できません。
万が一の事故発生時の対応策まで網羅した、実効性のある計画を策定するには、福祉と不動産の両方の視点を持った専門的なライティング能力が問われます。
地域独自のルールにより個別で追加されるローカル資料
国のガイドラインには記載されていない、自治体独自の必要書類(ローカル資料)の存在にも注意が必要です。
例えば、近隣住民への説明報告書や、独自の様式による誓約書、地域の防災計画との整合性を示す資料などが求められることがあります。
こうした特殊な提出書類は各自治体のウェブサイトの奥深くに記載されていたり、役所の窓口で初めて口頭で伝えられたりすることも珍しくありません。
全国一律のルールではないため、ネット検索だけでは正解にたどり着けないことが多く、申請手続きがストップする主要な原因となっています。
居住サポート住宅の認定審査でつまずきやすい落とし穴

要件を満たしていると思って申請したものの、思わぬ理由で審査が止まったり、認定後にトラブルになったりするケースがあります。
こうした審査の停滞や運営上のトラブルは、居住サポート住宅制度の細部や運用ルールを熟知していれば未然に防ぐことが可能です。
「認定を取ること」をゴールにするのではなく、その後の安定した運営を見据えて、事前に対策を講じておく必要があります。
特に、以下の3つのポイントは、多くの事業者様が見落としがちな「落とし穴」です。
- 既存物件の活用で壁となるバリアフリー基準
- 認定取得後の運営期間に毎年発生する定期報告の義務
- 不慣れな自社申請により数十時間の工数を浪費するリスク
既存物件の活用で壁となるバリアフリー基準
既存のアパートやマンションを活用する場合、バリアフリー基準のクリアが大きな壁として立ちはだかります。
例えば「床の段差」や「廊下の幅」が規定に満たないケースでは、大規模な改修工事を検討しなくてはなりません。
建物の構造上、どうしても段差を解消できずに認定自体を断念せざるを得ない事態も想定されます。
「後で工事すれば大丈夫だろう」と安易に構えて申請を進めるのは非常に危険です。
認定が下りないばかりか、無駄な調査費用だけを失うことになりかねません。
初期段階で専門家による現地調査を実施し、物件のポテンシャルを正確に把握すること。
物件の把握こそが、無駄な出費を未然に防ぐための最善策といえるでしょう。
認定取得後の運営期間に毎年発生する定期報告の義務
認定は一度取れば終わりではありません。
認定事業者は、毎年の運営状況を行政に報告する義務を負います。
入居者の状況やサービス提供の実績を記録した帳簿を作成・保存し、定期的に提出しなければなりません。
もし報告を怠ったり、内容に虚偽があったりした場合は、認定の取り消しや補助金の返還を求められるリスクもあります。
申請手続きの段階から、こうした「認定後の事務負担」も考慮し、誰がどのように管理・報告を行うのかを社内で決めておく必要があります。
不慣れな自社申請により数十時間の工数を浪費するリスク
自社で申請を行う最大の落とし穴は、コスト削減を優先した結果として、担当者様が膨大な時間を奪われてしまうことです。
認定の取得には、300ページを超える膨大な手引きの解読や、不慣れな書類作成、さらには行政窓口との度重なる折衝をこなさなくてはなりません。
こうした煩雑な申請実務を通常業務と並行して進める場合、担当者様1人につき約100時間以上の工数が必要になると言われています。
仮に年収600万円の社員が100時間を費やせば、会社が負担する実質的なコストは30万円以上に相当する計算です。
目先の代行費用を惜しんで自社対応した結果、本来得られるはずだった家賃収入が遅れ、高い人件費だけがかさむ事態は避けなくてはなりません。
いわゆる「人件費の逆転現象」を招かないよう、経営的な視点からプロへの外注を検討することが賢明といえるでしょう。
まとめ|複雑な認定申請は専門家の活用で最短化を

居住サポート住宅の認定制度は、オーナー様や運営事業者様にとって、空室対策や補助金受給といった大きなメリットをもたらす制度です。
しかし、認定を受けるためには、厳格な住宅基準のクリアや、緻密な居住支援計画の策定、自治体ごとのローカルルールへの対応など、乗り越えるべき「3つの壁」が存在します。
これらの手続きを自社だけで行おうとすると、手引きの解読や書類作成、行政との協議に膨大な時間を費やすことになりかねません。
結果として、事業開始が遅れ、本来得られるはずの収益を逃してしまうリスクも生じます。
確実かつ最短で認定を取得し、本来の事業運営に専念するためには、制度に精通した行政書士などの専門家へ申請代行を依頼することが、最も効率的で賢明な経営判断と言えるでしょう。
まずは、申請代行サービスの内容や費用について、専門家へ相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
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